「Claude Codeを複数同時に動かして、作業を並列で進められるらしい」 「Agent Teamsを試したいけど、調べると記事によって書いてあることが違う」
この記事は、そんなあなたのためのAgent Teams(エージェントチーム)完全ガイドです。
有効化のコピペ用コード、サブエージェントとの違い、トークン消費「約7倍」の本当の意味、Windowsでの制約まで、公式ドキュメントで裏を取れた情報だけで解説します。
先にひとつ大事な注意です。Agent Teamsは仕様変更のペースが非常に速い実験的機能で、ネット上には2026年2〜3月の古い手順のまま止まっている解説記事が多く残っています。本記事は2026年8月7日時点の公式ドキュメント(v2.1.178基準の記述・CLI最新版はv2.1.223)に基づいて書いており、記事後半では「古い記事に残っている誤情報」もまとめて整理します。
Claude Codeの基本操作がまだ不安な方は、先にClaude Codeの使い方マスターで土台を固めてからお読みください。
- Agent Teamsの仕組み(リーダー・チームメイト・タスクリスト・メールボックス)
- サブエージェントとの違いと使い分け(比較表つき)
- 有効化の設定方法(コピペ用コードつき)
- トークン消費「約7倍」の正しい読み方とコスト削減策
- Windowsでどこまで使えるか
- 古い解説記事に残っている誤情報の見分け方
Claude Code Agent Teams(エージェントチーム)とは?
Agent Teams(エージェントチーム)とは、複数のClaude Codeをリーダーとチームメイトに分けて、1つのチームとして並列で動かす実験的な機能です。
普段のClaude Codeは「あなたと1人のAIアシスタント」の会話です。Agent Teamsを有効にすると、その1人がチームリーダーになり、部下にあたるチームメイト(それぞれが独立したClaude Code)を複数立ち上げて、仕事を割り振れるようになります。
公式ドキュメントの説明を訳すと次のとおりです。
Agent teamsを使うと、複数のClaude Codeインスタンスを連携させて動かせます。1つのセッションがチームリーダーとして、作業の調整・タスクの割り当て・結果の統合を担当します。チームメイトはそれぞれ自分のコンテキストウィンドウで独立して作業し、互いに直接コミュニケーションします。 (出典:公式ドキュメント Agent teams)
そもそもClaude Code自体をまだよく知らない方は、まずClaude Codeとは何かの解説から読むと、この記事の内容がすっと入ってきます。
チームを構成する4つの要素
公式ドキュメントでは、Agent Teamsは次の4つの要素で構成されると説明されています。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| チームリーダー(Team lead) | チームメイトを立ち上げ、作業を調整するメインのClaude Codeセッション |
| チームメイト(Teammates) | 割り当てられたタスクをそれぞれ担当する、独立したClaude Codeインスタンス |
| タスクリスト(Task list) | チームメイトが自分で取りに行く、共有の作業項目リスト |
| メールボックス(Mailbox) | エージェント同士がメッセージをやり取りする仕組み |
タスクには「pending(未着手)」「in progress(作業中)」「completed(完了)」の3つの状態があり、依存関係が解決されていないタスクは着手できない仕組みです。複数のチームメイトが同じタスクを同時に取り合わないよう、ファイルロックによる排他制御も入っています。
「1人のAIに頼む」から「AIのチームに任せる」へ
チームメイトは1人ずつが独立したClaude Codeとして動くため、それぞれが自分専用のコンテキストウィンドウ(AIの作業机のようなもの)を持ちます。誰か1人が大量のファイルを読み込んでも、他のメンバーの作業領域は圧迫されません。
さらに、チームメイト同士が直接メッセージを送り合えるのも特徴です。「調査担当が見つけた情報を、実装担当へ直接渡す」「設計担当の案に、レビュー担当が反論する」といった、人間のチームに近い連携ができます。
【重要】2026年8月時点では「実験的機能」
公式ドキュメントの冒頭には "Agent teams are experimental and disabled by default."(Agent teamsは実験的機能で、デフォルトで無効)と明記されています。セッション再開・タスク調整・終了処理まわりには既知の制限があるとも書かれており、正式リリース(GA)された機能ではありません。
デフォルトで無効なので、後述の環境変数を設定しない限りチームは一切作られません。また実験的機能である以上、この記事で紹介する設定名やキー操作も今後変わる可能性があります。動きがおかしいと感じたら、公式ドキュメントの最新版を確認するクセをつけてください。
Agent Teamsとサブエージェントの違い【表で分かる】
Claude Codeには以前から、仕事を分業できるサブエージェントという機能があります。読者の方が最も混同しやすいポイントなので、先に違いをはっきりさせておきましょう。
公式ドキュメントの比較表を日本語にしたものがこちらです。
| 観点 | サブエージェント | Agent Teams |
|---|---|---|
| コンテキスト | 独立した作業領域を持つが、結果は呼び出し元に返す | 独立した作業領域を持ち、完全に独立して動く |
| 通信 | メインエージェントに結果を報告するだけ | チームメイト同士が直接メッセージを送り合える |
| 調整 | メインエージェントがすべての作業を管理 | 共有タスクリストを使って自律的に調整 |
| 向いている用途 | 結果だけ欲しい集中型のタスク | 議論・連携が必要な複雑な仕事 |
| トークンコスト | 低め(結果は要約されて戻る) | 高め(チームメイト1人ずつが独立したClaudeインスタンス) |
いちばんの違いは「メンバー同士が直接話せるかどうか」
公式ドキュメントは両者の違いをこう説明しています(和訳)。
1つのセッション内で動き、メインエージェントに結果を報告することしかできないサブエージェントと違い、Agent Teamsではリーダーを介さずに個々のチームメイトと直接やり取りすることもできます。
イメージで言うと、サブエージェントは「調査を頼んで、レポートだけ受け取る外注スタッフ」。Agent Teamsのチームメイトは「隣の席で相談しながら一緒に進める同僚」です。
どちらを使うべきか
使い分けの基準も公式がはっきり示しています(和訳)。
すばやく集中して作業し、結果を報告してくれる働き手が欲しいときはサブエージェントを。チームメイト同士で発見を共有し、互いに検証し合い、自律的に調整してほしいときはAgent Teamsを使ってください。
「複数の調査を並列で走らせたい」程度の用途なら、サブエージェントで十分なことが多いです。Agent Teamsは後述のとおりトークン消費が大幅に増えるため、メンバー同士の連携が本当に必要な仕事に絞って使うのがコスト面でも安全です。
【罠】チームを頼んだのに、サブエージェントが動くことがある
公式ドキュメントには、見落とすと混乱する注意書きがあります(和訳)。
Claudeはチームを作らず、代わりにサブエージェントを使うことがあります。サブエージェントはチームメイトと同じエージェントパネルに表示されるため、パネルを見ただけではチームが組まれたかどうかは確認できません。サブエージェントが立ち上がっていた場合は、もう一度、明示的にエージェントチームを要求してください。
「チームで進めて」と頼んだのに、実際に動いていたのはサブエージェントだった、というケースが起こり得るということです。画面の見た目では区別がつかないため、チームメイト同士の連携が見られないなど動きが想定と違うときは、「サブエージェントではなく、Agent Teamsのチームを組んで」と指示し直してください。
Agent Teamsを有効にする方法【コピペ用コードあり】
Agent Teamsはデフォルトで無効です。環境変数 CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS に 1 を設定すると有効になります(2026年8月時点・CLI v2.1.223時点)。設定方法は2通りあります。
なお、Claude Code本体のインストールがまだの方は、先にClaude Codeの始め方完全ガイドで環境を整えてください。
方法1:settings.jsonに追記する(おすすめ)
ユーザー設定ファイル ~/.claude/settings.json に、次の内容を追記します。
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS": "1"
}
}
~はホームフォルダのことです(WindowsならC:\Users\ユーザー名配下)- 値はダブルクォートで囲んだ文字列の "1" です(公式ドキュメントのコード例どおり)
- すでにsettings.jsonに他の設定がある場合は、
"env"のブロックだけを既存のJSONに追加してください
方法2:シェルの環境変数で一時的に有効にする
「まず1回だけ試したい」ときは、ターミナルで環境変数を設定してからClaude Codeを起動する方法もあります。
# macOS / Linux(bash・zsh)
export CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS=1
claude
# Windows(PowerShell)
$env:CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS="1"
claude
こちらはターミナルを閉じると設定が消えます。常用するなら方法1のsettings.jsonがおすすめです。
有効化できたか確認する
設定を保存したら、Claude Codeを再起動してください。公式ドキュメントに有効化を確かめる専用コマンドの記載はないため、実際に「〜をチームで進めて」と指示して、チームメイトが立ち上がるかどうかで確認します。前述のとおり、チームの代わりにサブエージェントが動くこともあるので、その場合は明示的にAgent Teamsを要求し直してください。
claude --experimental-agent-teams という起動フラグを紹介している記事がありますが、2026年8月時点の公式ドキュメントにこのフラグの記載はありません。有効化は上記の環境変数 CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS で行ってください。
実際に使ってみる:最初のチームの作り方
スラッシュコマンドは不要。日本語で頼むだけ
意外かもしれませんが、Agent Teamsに専用のスラッシュコマンドはありません。公式ドキュメントには「有効化したら、タスクの内容と欲しいチームメイトを自然言語で説明してください。Claudeがチームメイトを立ち上げ、プロンプトに基づいて作業を調整します」(和訳)とあります。
指示の例です。公式のサンプルプロンプトを日本語にしました。
「開発者がコードベース内のTODOコメントを追跡できるCLIツールを設計したい。チームメイトを3人立ち上げて、別々の角度から検討して。1人はUX担当、1人は技術アーキテクチャ担当、1人はあえて反対意見を出す担当で」
このように「何をしたいか」と「どんなチームメイトが欲しいか」を書くだけで、リーダーがチームメイトを立ち上げてタスクを配ります。
人数とモデルを指定する
チームメイトの人数や、各メンバーが使うAIモデルも指示文の中で指定できます。こちらも公式サンプルの和訳です。
「この4つのモジュールを、4人のチームメイトで並列にリファクタリングして。チームメイトのモデルは全員Sonnetで」
ここで1つ注意があります。チームメイトのモデルは立ち上げ時に固定され、あとから /model コマンドを実行してもリーダー側の設定しか変わりません。指示文でモデルを指定しなかったときの既定値を変えたい場合は、/config の「Default teammate model」で設定します。これが「チームメイトにSonnetを使わせてコストを抑える」ときの正しいやり方です。
チームメイトを操作するキー【公式準拠】
デフォルトのin-processモード(表示モードは次の章で解説)では、エージェントパネルから次のキーで操作します。
| キー | 動作 |
|---|---|
| ↑ / ↓(上下矢印) | チームメイトを選択 |
| Enter | 選択したチームメイトの画面を開き、直接メッセージを送る |
| Esc | 選択したチームメイトの現在の作業を中断 |
| x | 選択したチームメイトを停止 |
| Ctrl+T | タスクリストの表示/非表示を切り替え |
この表は2026年8月7日時点の公式ドキュメント(v2.1.178基準の記述)準拠です。解説記事によっては「Shift+Down」など別のキーが書かれていますが、現在の公式ドキュメントにその記載はありません(詳しくは記事後半のファクトチェックで)。
チームメイトの画面を開いている間、普通の文章はそのチームメイトに送られますが、スラッシュコマンドなどの組み込みコマンドはリーダーのセッション側で実行されます。「チームメイトに送ったつもりがリーダーの設定が変わっていた」とならないよう覚えておいてください。
チームの終わらせ方(片付けは自動)
作業が終わったら、リーダーに「リサーチ担当のチームメイトを終了して」のように頼めば、チームメイトを個別に終了できます。
そして重要な点として、チームの共有ディレクトリはセッション終了時に自動で片付けられるため、手動のクリーンアップ作業は不要です。公式ドキュメントにも「セッション終了時に自動でクリーンアップされるため、別途の片付けステップはない」(和訳)と明記されています。
ただし「すべてが消える」わけではありません。消えるのはチーム設定のディレクトリで、タスクリストはローカルに残ります(詳しくは後述の「データの保存先」で解説します)。
なお、チームメイトは実行中のリクエストやツール呼び出しを終えてから停止する仕様のため、終了指示から実際に止まるまで時間がかかることがあります。焦らず待ちましょう。
表示モードの選び方(in-process / split panes)
Agent Teamsの表示モードは2種類です。
| モード | 見え方 | 必要なもの |
|---|---|---|
| in-process(デフォルト) | チームメイト全員がメインのターミナル内で動き、エージェントパネルで切り替えて見る | なし(どのターミナルでも動く) |
| split panes | チームメイトごとに画面が分割され、全員の出力を同時に見られる。ペインをクリックして直接やり取りできる | tmux または iTerm2 |
用語を補足すると、「ペイン(pane)」は分割されたターミナル画面の1区画のこと、「tmux」は1つのターミナルを複数の画面に分割して同時に操作できるツールのことです。
デフォルトのin-processで、まずは十分
in-processモードは追加ソフトなしでどのターミナルでも動きます。まずはデフォルトのまま使い、「全員の作業を並べて眺めたい」と感じてからsplit panesを検討すれば十分です。
【2026年8月版】アップデートしたら分割画面が出なくなった人へ
「以前は起動すると分割ペインが開いたのに、アップデートしたら1画面になった」という方へ。これは故障ではなく仕様変更です。
v2.1.179で、デフォルトの表示モードが "auto" から "in-process" に変更されました。以前の "auto" は「tmuxの中で起動すると自動で分割ペインを開く」動作でしたが、現在は設定で明示しない限り1画面のまま動きます。分割表示に戻したい場合は、次の teammateMode を設定してください。
teammateModeの設定値は4つだけ
表示モードは ~/.claude/settings.json の teammateMode で切り替えます。
{
"teammateMode": "auto"
}
設定できる値は次の4つです(2026年8月時点)。
| 値 | 動作 |
|---|---|
"in-process" |
デフォルト。全員がメインターミナル内で動く |
"auto" |
すでにtmuxセッション内で起動している場合、またはiTerm2+it2 CLIがある場合に分割ペイン。それ以外はin-process |
"tmux" |
分割ペインモードを有効化し、tmuxとiTerm2のどちらを使うかは自動判定 |
"iterm2" |
iTerm2のネイティブ分割ペインを明示的に使う(v2.1.186以降・it2 CLI必須) |
1回のセッションだけ変えたいときは、起動フラグでも指定できます。
claude --teammate-mode auto
ただしこの --teammate-mode フラグは実験的な扱いで、claude --help の一覧には表示されません。
--teammate-mode split-panes(または split-pane)という指定を紹介している記事がありますが、公式ドキュメントにこの値は存在しません。指定できるのは in-process / auto / tmux / iterm2 の4つだけです。
split panesを使うときの準備
- tmuxを使う場合:公式ドキュメントには「tmuxは特定のOSで既知の制限があり、伝統的にmacOSで最もよく動作する」「iTerm2では
tmux -CCから入るのが推奨」とあります - iTerm2を使う場合:
it2CLIをインストールし、iTerm2の Settings → General → Magic → Enable Python API を有効化します
【Windowsユーザー向け】どこまで使える?
日本の読者はWindowsの方が多いはずなので、独立した章として整理します。
in-processモードなら問題なく使える
公式ドキュメントは「デフォルトのin-processモードはどのターミナルでも動く」と明記しています。チームの作成・タスク管理・チームメイト同士のメッセージングといったAgent Teamsの中身はすべてin-processで使えるため、Windowsだから機能が足りない、ということはありません。
split panes(分割表示)はWindows Terminalでは使えない
一方で、分割表示は制限があります。公式のLimitations(制限事項)の和訳です。
split panesにはtmuxまたはiTerm2が必要です。デフォルトのin-processモードはどのターミナルでも動作します。split-paneモードは、VS Codeの統合ターミナル・Windows Terminal・Ghosttyではサポートされていません。
Windowsの標準的な環境(Windows Terminal・VS Codeのターミナル)では、分割表示は諦めてin-processで使う、が現時点の結論です。
WSLという選択肢(公式には明記なし)
どうしても分割画面を使いたい場合、WSL(Windowsの中でLinuxを動かす仕組み)にtmuxを入れて動かす方法が考えられます。ただし、WSL上でのAgent Teamsの動作可否は公式ドキュメントに明記されていません。筆者も動作未確認のため、この記事では「保証のない選択肢」としてだけ紹介しておきます。
トークン消費は本当に7倍?「約7倍」の正しい読み方
Agent Teamsを使ううえで最大の注意点がトークン消費です。多くの記事が「トークン消費は約7倍」と紹介していますが、この数字は正確に理解しておく必要があります。
公式の「7倍」は条件付きの数字
公式ドキュメント(costs)の原文には、はっきり条件が書かれています(和訳・強調は筆者)。
チームメイトがプランモードで動作する場合、Agent Teamsは通常セッションの約7倍のトークンを使用します。各チームメイトが自分のコンテキストウィンドウを保持し、独立したClaudeインスタンスとして動作するためです。
プランモードは「実装せず、計画だけを立てる」動作モードのことです。「約7倍」は無条件の平均値ではなく、この条件付きで公式が示している目安です。
条件なしで公式が言っているのは、「Agent Teamsは単一セッションよりはるかに多くのトークンを使う。使用量はアクティブなチームメイトの数に応じて増える」というところまで。人数を増やせば増やすほど、消費もほぼ比例して増えると考えてください。
実際の消費量は使い方しだいで大きく変わる
利用者による実測の報告を見ると、同じような作業でも公式の目安である7倍より小さく収まったケースもあれば、大きく上回ったという報告もあり、かなり幅があります。チームの人数・タスクの大きさ・プランモードを使うかどうかで大きく変わるため、「必ず7倍になる」とも「7倍あれば収まる」とも考えないのが安全です。
公式が挙げるコスト削減策4つ
公式ドキュメントは、コストを抑える方法を4つ挙げています。
- チームメイトにはSonnetを使う 調整型のタスクには能力とコストのバランスが良い
- チームは小さく保つ トークン使用量はチームの人数にほぼ比例する
- 立ち上げ時の指示文(スポーンプロンプト)は絞り込む 指示文に書いた内容はすべて最初からチームメイトのコンテキストに載る
- 作業が終わったチームメイトはすぐ終了する アクティブなチームメイトは、終了するまでトークンを消費し続ける
3つ目について補足すると、チームメイトは立ち上げ時にCLAUDE.md・MCPサーバー・Skillsを自動で読み込みます。この読み込みは指示しなくても発生するため、指示文まで長々と書くと、その分が丸ごと1人ずつのコンテキストに積まれていくわけです。
どのプランなら使える?
Agent Teamsを使えるプランの制限(Pro/Max/Team/Enterprise/APIのどれで使えるか)は、2026年8月時点の公式ドキュメントに記載がありません。「Maxプラン限定」といった情報を見かけても、公式の裏付けはない状態です。
確かなことは、Claude Code自体が無料プランには含まれず、有料プラン(Pro以上)またはAPI課金で使うツールだということ。そしてAgent Teamsは上記のとおりトークン消費が大きいため、プランの利用上限には普段より早く到達しやすくなると考えられます。各プランの上限の仕組みと選び方はClaude Codeの料金プラン完全比較で詳しく解説しています。
Agent Teamsが向いている仕事・向いていない仕事
トークン消費が大きい機能だからこそ、「どんな仕事に使うか」の見極めが大切です。
公式が挙げる「向いていない仕事」
公式ドキュメントは、向いていないケースを正直に書いています(和訳)。
Agent Teamsは調整のオーバーヘッドが加わり、単一セッションよりはるかに多くのトークンを使います。チームメイトが独立して作業できるときに最も効果を発揮します。逐次的なタスク、同じファイルの編集、依存関係の多い作業には、単一セッションかサブエージェントのほうが効果的です。
これを踏まえると、次のようなケースではAgent Teamsを使わないほうが賢明です。
- 手順を1つずつ順番に進める作業 並列にできないので、チームにしても待ち時間が増えるだけ
- 複数人で同じファイルを触る作業 編集が衝突する
- 依存関係が多い作業 前の工程待ちが多発し、並列の意味がなくなる
- 1人で数分で終わる小さな作業 チーム調整の手間のほうが大きい
- トークン消費をとにかく抑えたいとき 単一セッションかサブエージェントで十分
向いている仕事と実践レシピ3つ
向いているのは、チームメイトがそれぞれ独立して進められる仕事です。公式ドキュメントで例示されている代表的な使い方を、日本語の指示例つきで3つ紹介します。
レシピ1:多角的なレビュー・検討
「このプルリクエストを3人のチームメイトでレビューして。1人はセキュリティ観点、1人はパフォーマンス観点、1人はテストカバレッジ観点で」
観点ごとに独立して読めるので、ファイルの取り合いが起きません。初めてのAgent Teamsには、こうした読み取り中心のタスクが試しやすいです。
レシピ2:競合仮説デバッグ
「このバグの原因になりうる仮説を3つ立てて、3人のチームメイトにそれぞれ別の仮説を検証させて」
原因調査を1本道で進める代わりに、複数の仮説を同時に潰しにいく使い方です。チームメイト同士が発見を共有し合えるAgent Teamsらしい使い方と言えます。
レシピ3:レイヤー分担の並列実装
「この機能を、フロントエンド担当・バックエンド担当・テスト担当の3人で分担して実装して。担当ファイルが重ならないように分けて」
「同じファイルを触らせない」が鉄則です。担当範囲をファイル単位で分ければ、編集の衝突を避けながら並列で進められます。
チームの人数とタスク数の目安
公式ドキュメントによると、チームメイトの数に上限(ハードリミット)はありません。ただし推奨として「まずは3〜5人から始める」「チームメイト1人あたり5〜6タスクが生産的」「独立したタスクが15個あるなら、チームメイト3人が良い出発点」と示されています。公式は理由として「トークンコストは人数に比例して増える」「連携やタスク調整の手間が増える」「ある人数を超えると、増やした分だけ速くはならない(収穫逓減)」の3つを挙げており、「集中した3人は、散漫な5人に勝ることが多い」とまで書いています。
押さえておきたい制限事項【公式Limitations全9項目】
実験的機能なので、制限も多めです。公式ドキュメントのLimitationsに挙がっている9項目を表にまとめました。
| # | 制限 | 内容・対処 |
|---|---|---|
| 1 | セッション再開でチームメイトは戻らない | /resume・/rewind はin-processのチームメイトを復元しない。再開後はリーダーに新しいチームメイトを立ち上げてもらう |
| 2 | タスク状態の反映が遅れることがある | 完了マークが付かず後続タスクが止まることがある。実際に終わっているか確認し、手動で状態を更新するか、リーダーからチームメイトに催促させる |
| 3 | 終了に時間がかかることがある | チームメイトは実行中の処理を終えてから停止するため |
| 4 | 1セッション1チーム | 名前付きの複数チームは作れず、セッションをまたいだチームの共有もできない |
| 5 | 入れ子チームは不可 | チームメイトが自分のチームメイトを立ち上げることはできない。チームを管理できるのはリーダーだけ |
| 6 | in-processのチームメイトはバックグラウンドのサブエージェントを持てない | チームメイト自身のサブエージェントはフォアグラウンドで動く。バックグラウンドを頼むとエラーになる |
| 7 | リーダーは固定 | チームメイトをリーダーに昇格させたり、交代させたりはできない |
| 8 | 権限モードは立ち上げ時にリーダーから引き継がれる | 立ち上げ後に個別変更はできるが、立ち上げ時点で1人ずつ別のモードを指定することはできない |
| 9 | split panesはtmuxかiTerm2が必須 | Windows Terminal・VS Code統合ターミナル・Ghosttyでは非対応 |
権限まわりの安全設計も知っておく
権限について、公式ドキュメントには安心材料と注意点の両方が書かれています。
まず注意点。チームメイトはリーダーの権限設定を引き継ぐため、リーダーが --dangerously-skip-permissions(確認なしですべての操作を許可する危険なフラグ)で動いていると、チームメイト全員が確認なしで動きます。チームを組むときほど、権限は慎重に設定してください。
一方で安心材料もあります。チームメイトの権限確認はリーダーのセッションに表示され、承認するのはあなた自身です。さらに、エージェント同士のメッセージは「別のClaudeセッションから来たもの」として扱われ、チームメイトがあなたの代わりに権限を承認したり、拒否された操作を別のチームメイト経由で通そうとしたりはできない設計になっています。「AI同士が勝手に許可を出し合う」事態を防ぐ仕組みが最初から入っているわけです。
上級編:チームをもっと安全・確実に動かす
基本操作に慣れたら、公式ドキュメントに載っている3つの機能でチームの精度を上げられます。
プラン承認で暴走を防ぐ
チームメイトが変更を加える前に、計画(プラン)の承認を必須にできます。公式サンプルの和訳です。
「認証モジュールのリファクタリングを担当するアーキテクトのチームメイトを立ち上げて。変更を加える前に、必ず計画の承認を求めるようにして」
チームメイトは承認が下りるまで読み取り専用のプランモードで待機し、承認されてから実装に入ります。却下された場合はフィードバックを受けて計画を練り直し、再提出する流れです。「気づいたら想定外のファイルが書き換わっていた」事故を防げます。
なお、この計画を承認するのはリーダーです。権限確認とは違い、プラン承認だけはリーダーのセッションが自動で判断し、あなたに個別の確認は出ません(公式に「designed exception(設計上の例外)」と明記されています)。リーダーの判断を方向づけたいときは、「テストが含まれる計画だけ承認して」のように判断基準を最初の指示文に書いておくのがコツです。
既存のサブエージェント定義を流用する
すでにサブエージェント(エージェントタイプ)を定義している場合、それをチームメイトとして呼び出せます。
「security-reviewerエージェントタイプを使うチームメイトを立ち上げて、認証モジュールを監査して」
参照できるのはプロジェクト・ユーザー・プラグイン・CLI定義のどのスコープのサブエージェントでも構いません。ただし、サブエージェント定義のうち skills と mcpServers のフロントマター(定義ファイル冒頭の設定欄)はチームメイトには適用されない点に注意してください。
なおチームメイトは、通常のセッションと同じように作業フォルダのCLAUDE.md・MCPサーバー・Skillsを自動で読み込みます。一方でリーダーの会話履歴は引き継がれないため、作業に必要な文脈は立ち上げ時の指示文で明示的に渡すのがコツです。
Hooksで品質ゲートを作る
Hooks(フック。特定のタイミングで自動実行される仕組み)を使うと、チームメイトの仕事にルールを強制できます。Agent Teams関連のHooksは3つです。
| Hook | 動くタイミングと使い方 |
|---|---|
TeammateIdle |
チームメイトが手待ちになる直前に実行。終了コード2を返すとフィードバックを送り、作業を続けさせられる |
TaskCreated |
タスクが作成されるときに実行。終了コード2で作成を差し止めてフィードバックを返せる |
TaskCompleted |
タスクが完了になるときに実行。終了コード2で完了を差し止めてフィードバックを返せる |
たとえば「テストが通っていないタスクは完了にさせない」といった品質ゲートを自動化できます。
データの保存先
チームのデータはホームフォルダの .claude 配下に保存されます。
| データ | 場所 |
|---|---|
| チーム設定 | ~/.claude/teams/{チーム名}/config.json |
| メールボックス | ~/.claude/teams/{チーム名}/inboxes/{エージェント名}.json |
| タスクリスト | ~/.claude/tasks/{チーム名}/ |
チーム名は「session-」にセッションIDの先頭8文字を付けた形で自動的に決まります。チーム設定はセッション終了時に削除されますが、タスクリストはローカルに残り、保持期間は cleanupPeriodDays 設定(セッション履歴と同じ設定)に従います。
チーム設定ファイルにはセッションIDやtmuxのペインIDといった実行時の状態が入っており、手で編集しても次の状態更新で上書きされます。また、プロジェクト直下に .claude/teams/teams.json のようなファイルを置いても、設定としては認識されません(ただのファイルとして扱われます)。
【ファクトチェック】古い記事に残っている誤情報5つ
Agent Teamsは2026年2月には検証記事が出始めていた機能ですが、その直後に大きな仕様変更があり、初期に書かれた解説記事の多くが現在の仕様に追いついていません。検索上位の記事にも残っている代表的な誤情報を、2026年8月時点の公式ドキュメントと突き合わせて整理します。
誤情報1:「まずTeamCreateでチームを作成する」
初期のAgent Teamsには、先にチームを作って名前を付ける準備ステップがあり、内部で TeamCreate・TeamDelete というツールが使われていました。v2.1.178でどちらのツールも廃止され、現在は環境変数さえ設定していれば、チームメイトの立ち上げに準備ステップは不要です。
あわせて「使い終わったらチームを削除(クリーンアップ)する」という手順も不要になりました。現在はセッション終了時に自動で片付けられます。
誤情報2:「デフォルトで分割ペインが開く」
前述のとおり、v2.1.179でデフォルトの表示モードが "auto" から "in-process" に変更されました。「tmux内で起動すると自動的に分割ペインになる」と書かれた記事は、この変更前の情報です。現在、分割表示を使うには teammateMode の明示的な設定が必要です。
誤情報3:「--teammate-mode split-panes で分割表示にする」
split-panes(split-pane)という設定値は公式ドキュメントに存在しません。指定できる値は in-process / auto / tmux / iterm2 の4つだけです。また、有効化のための claude --experimental-agent-teams というフラグも公式ドキュメントに記載がありません。コピペしても意図どおり動かない可能性が高いので注意してください。
誤情報4:「Shift+Downでチームメイトを切り替える」
複数の解説記事に「Shift+Down」「Shift+矢印」といったキー操作が書かれていますが、2026年8月時点の公式ドキュメントにこの記載はありません。公式に書かれている操作は上下矢印・Enter・Esc・x・Ctrl+Tです。過去のバージョンの仕様だった可能性はありますが(未確認)、これから覚えるなら公式準拠の操作にしておきましょう。
誤情報5:「AnthropicはAgent Teamsで10万行のCコンパイラを作った」
Anthropicの研究者が16体のClaudeを並列で動かし、約2,000回のClaude Codeセッションと約2万ドルのAPIコストをかけて、10万行のCコンパイラ(Rust製)を完成させた事例があります(2026年2月公開の公式エンジニアリングブログ)。このコンパイラはほとんどのコンパイラテストスイートで99%のパス率を出し、Linux 6.9をビルドできたと報告されており、その規模から「Agent Teamsの実績」としてよく引用されます。
ただし原文を読むと、この実験で使われたのはClaude Codeの製品機能としてのAgent Teamsではなく、著者が自作した並列実行の仕組み(Docker+gitリポジトリ+ロックファイル+claude -p をループ実行するハーネス)です。原文の「agent teams」は機能名ではなく、この監督アプローチ全体を指す呼び名として使われています。
「Agent Teams機能を使えば2万ドルでコンパイラが作れる」という紹介は正確ではありません。位置づけとしては、この実験が示したコンセプトを誰でもターミナルから使えるようにしたのが、現在のAgent Teams機能と理解するのが妥当です。
よくある質問(FAQ)
いいえ。2026年8月7日時点では実験的機能(experimental)で、デフォルトでは無効です。公式ドキュメントにも "Agent teams are experimental and disabled by default." と明記されており、環境変数 CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS を設定しない限り動きません。仕様も今後変わる可能性があります。
最大の違いは、チームメイト同士が直接メッセージをやり取りできる点です。サブエージェントは結果をメインエージェントに報告するだけで、互いに会話できません。結果だけ欲しい集中型の作業はサブエージェント、メンバー間の連携や議論が必要な複雑な仕事はAgent Teamsが向いています。
公式ドキュメントは「チームメイトがプランモードで動く場合、通常セッションの約7倍」と条件付きで記載しています。チームメイトごとに独立したコンテキストウィンドウを持つため、人数にほぼ比例して増えます。実際の消費量は使い方によって公式の目安より小さいことも大きいこともあり、幅があると考えてください。
デフォルトのin-processモードはどのターミナルでも動くため、Windowsでも使えます。ただし分割ペイン(split panes)はtmuxかiTerm2が必要で、Windows Terminal・VS Codeの統合ターミナル・Ghosttyでは非対応と公式に明記されています。分割表示なしなら機能面の不足はありません。
公式に上限(ハードリミット)はありません。ただし公式の推奨は3〜5人からのスタートで、チームメイト1人あたり5〜6タスクが目安とされています。人数を増やしすぎると調整の手間とトークン消費が増えるだけで、作業は速くなりません。
まとめ:Agent Teamsは「使いどころを選ぶ道具」
- Agent Teamsは複数のClaude Codeをチームで並列に動かす機能。2026年8月時点では実験的機能
- 有効化は環境変数 CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS を "1" に設定するだけ。専用コマンドは不要で、日本語で「チームで進めて」と頼めばよい
- サブエージェントとの違いは「メンバー同士が直接やり取りできるか」。結果だけ欲しいならサブエージェントで十分
- トークン消費「約7倍」はプランモード時の条件付きの数字。人数に比例して増えるので、チームは3〜5人の小規模から
- Windowsはin-processモードなら問題なく使える(分割表示は非対応)
- 2026年2〜3月の古い解説記事には、廃止済みの手順や存在しない設定値が残っているので注意
Agent Teamsは、独立して進められる仕事に絞って使えば強力な機能です。同時に、トークン消費が大きく制限も多い実験的機能でもあります。まずは並列レビューのような読み取り中心のタスクを、3人程度の小さなチームで試すところから始めてください。
仕様は数週間単位で変わる機能なので、この記事と挙動が違うと感じたら公式ドキュメント(code.claude.com/docs)を確認するのが確実です。
「自分のプランの上限で足りるかな?」と気になった方はClaude Codeの料金プラン完全比較を、チームを組む前の基本操作を固めたい方は使い方マスターをあわせてどうぞ。